ドリーム
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荷物の運搬のために中野駅北口のニッポンレンタカーでトラックを借りたのだが、思っていたより大型だった。こんなの運転できるのか。でも必要だし、しかたなく運転。誰か助手席にいれば安心なのだが今日は一人で運転するしかない。
妙な小道に入ってしまい、まずいかも、と思いながらゆっくりと進んだ。向こうからきたおじさんが、ここから先はもう進めないから戻った方がいい、と言ってくれた。なんとか方向転換して別の道へ。すぐに国道へ出たので少し安心した。
カーナビがない車だったので、地図を見るために道の端へいったん車を停めた。地図をくるくる回していると、すみません、と徒歩の青年が窓の近くから声をかけてきた。
「なんですか?」
私はドアを開ける。青年は少し困ったような笑ったような顔をしている。
「そのナンバー、うちの車なんです。僕もびっくりしたんですが。一応確認させてください」
「えっ」
私は確かにレンタカーで配車された車に乗っているのだが、その青年が言っていることがもし正しかったらどうしようと、混乱した。青年は自分が持っている鍵を使ってエンジンを回そうとした。
そのとき、青い作業着を来たおじさん二人があらわれ、工具をつかって左右のミラーを外そうとした。まずい、これはグルだと思い、私は青年を振り払って、あわてて発車した。
青年とおじさん二人は追ってくる様子はなかった。もちろん、車もないようだし、追おうにも追えないが。バックミラーの中で小さくなって行く青年の表情は、笑っているようにもみえた。
私は夜の国道を走った。停車したいのだが、とりあえずしばらく走ろうと思った。
TYM344
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